野中花『昭和・奇人、変人、面白人』
「この人の『昭和・奇人、変人、面白人』は一大奇書だから、ネットで探して購入することをお勧めする」(*)という言葉のとおり、そのまますぐネットで探して購入。9日夜に到着していた本の封を解き、読みはじめると止まらない! 飄々と語られる夜の酒場の面白話。作家、作曲家、政治家、軍人(!)と幅広い登場人物に驚きつつ、昭和って長く太い時代だったんだなーと実感する。明治~大正~という流れを引き継いでいて、受け止める懐の深さがあったと言える。
笑えて、知らなかったことにも触れられる貴重な一冊。文壇、画壇の正史のわきに置くことで、時代のうねりを感じさせる。著者・野中花は銀座の酒場〈セレナーデ〉の女将である。
(*)坪内祐三『新・旧 銀座八丁 東と西』所収「銀座六丁目 西」